雪に紅(ゆきにあか)
※表現に、血などが出てきます。苦手な方はスルーして下さい。
このブログタイトルにも選んだ、
私の人生の中で、1番印象に強く残っているシーン。
きっと死ぬ直前に、走馬灯のように流れるのだろうなぁと思っています。
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真っ白に深く雪が積もった夜で、
赤い救急車のランプが涙越しにも
つよくつよく点滅しているのが見えた。
吐く息が真っ白で、そして何か情けない気分で涙が止まらなかった。
救急隊員の方から「大丈夫ですよ、お嬢さんが思ってる様なことには
なりませんから。」って優しく声をかけてもらったけど、
申し訳ないけどお父さんを心配する気持ちより、
これが私の父親か、、、っていうのと
ここまで放っておいた自分と家族に情けなくて情けなくて涙が流れ続けた。
その日は凍えるように寒い冬の日で、
2日位前に、酔っぱらった父親が階段から落ちてずっと頭から血を流してた。
家中に赤い血痕がぽたぽた、タオル何枚分も真っ赤に染まってた。
家族はみんな、またか、、っていう感じの反応で本人もアルコールの
影響からか痛いとかあまり言い出さなかったから
放っておいていた。
それに、流血沙汰なんていままでにも何度もあった。
家の中が硝子の破片でいっぱいになったり、
父親の血で染まった自分のコートを泣きながら処分したこともあるし、
母親が殴られてパンダみたいなひどいアザになってたこともあった。
いわゆる大変な状況というものに感覚が麻痺していて、
今から救急車に同乗するというのに、泣いてはいたが
内心落ち着いてた。
真っ白い雪の上を、父親が通ったところに
紅い血がぽたぽたと落ちるのを見た。
白い雪の上に、鮮明で強烈な紅。
一生忘れられない日。
六花